オープンな雰囲気

さて、旅から帰ってきて感想を書くのかと思いきや

まったく違う話をしていきたい。

 

話しかけやすい雰囲気って、

作ろうと思えば簡単に作れるものなのだが、

意外と保てていないものだと思う。

 

 

会社の同僚で教育担当の先輩は

私の対面の席にくっついているキャビネに

荷物を入れているので帰り際に必ず来る。

 

たいがいその時間に先輩が来るのはノー残業デーの日だけ。

他の日は基本的に残業をしている。

 

先輩はとてもまわりに気を遣う人だ。腰が低く

後輩でもこまやかに丁寧に接してくれる方である。

 

ここから少し本題にまったく関係のない余談が入るので、

時間がない方は飛ばして進んでいただきたい。

 

∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇ココカラ∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇

 

私は決断が必要な質問や、難しい質問は先輩に

聴きに行かないようにしている。

もちろんダメと言われているわけではないが

先輩が自分で判断が難しいと思った時に

別の人に相談に行く率がとても高いからだ。

 

既存のルールの中でド忘れして確認したいことや

軽い質問はしに行っているが、基本的につまずくのは

難しいことになってきているので、以前より接する機会が減った。

 

先輩は教育係という立場上、非常に質問されやすいため

キャパが早いうちに限界を迎えて、

ドギマギし始めるのが目に見える。

 

今いっぱいいっぱいです、と見て分かっていても

質問する側の新人ちゃんたちもいっぱいいっぱいで。

分からないから聞くしかないし

聴かないと完全にそこで立ち止まってしまう。

 

だからなんとなくだが、それなりにできるメンツは

先輩に質問に行かなくなる。

 

帰りに飲みに行くとかもなかったし、

密に教育を受けていた時期があったが、

どんな人なのか、業務外で何を話せばいいのか

つかめないまま二年経ってしまった。

 

∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇ココマデ∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇∇

 

私はご存じかと思うが人の表情や声色や行動にとても敏感だ。

先輩は何かに追われているととても早口になったり

言い回しがきつくなったりする、とても分かりやすい方だ。

 

つまり逆に余裕がある時や、人と話したい時はとても分かりやすい。

自分からは話しかけるのはどうかと思い話しかけてはこないが

軽く話したいな、してもいいよ、という雰囲気が出ている時がある。

 

そういうものって大抵表情の柔らかさとか、動きの緩やかさから

掴めたりするものなのだが、先輩は「よいしょ」とか

「んーまだ時間あるな」とか急に独り言を言い始めるのである。

 

オープンになっているというか、受付開始したよ、というような

雰囲気がすごく出ていて、ちょっと笑ってしまう。

本当はもっと誰かと話がしたいんだと思う。

同期があまりいなくて、先輩か、明らかな後輩しかおらず、

いまいち日々の中に楽しみを見つけられていない気がする。

あくまで私の勝手な憶測ではあるが。

 

時々私にも余裕がある時に、タイミングがうまく重なった時に

先輩になんともない雑談を振ってみることがある。

あまり人と話さずに一日を過ごしている人あるあるなのだが

声が大きくなりがちになる。

今まで蓄えていたパワーが勢いよく飛び出したような。

 

先輩はまさにその状態で返答してくれて、とても声が響いてしまう。

少しアニメ声優のようなかわいらしい声なので、

まわりの音にまぎれる私の声とは違って、

みんなが聞き取れてしまうため、まだ業務に

集中しているメンバーからするとうるさく感じるらしい。

 

冷たい視線がささり、不快な溜息が聞こえてきたりする。

 

私はまだ業務中のメンバーのそういった反応に気づいてから

なかなか先輩に話しかけられなくなっているのが現状だ。

日中で、あまりみんなが業務をしていない時間に

さらりと軽く話せればいいのだが。。

大体先輩は別室に振られて出て行ってしまうので難しい。

 

もしかしたらとても気が合うかもしれないと思っているので

機会があれば食事に誘ってみようかと考えつつ踏み込めないでいる。

 

私は先輩が何気なく出しているオープンな雰囲気が好きだ。

かまって、でもなく。注意獲得でもない。

静かに待っている感じがとてもかわいらしくて、女性らしい。

 

私は人と話したくて話したくて話したくて仕方がないのに

一人でいたい、ほっといてくれ、のような雰囲気を

作り出してしまっているので、私も先輩を見習って

オープンな雰囲気になっている時間をもっと作ろうと思った。